多くの人が何気なく行っている電子レンジでの急激な加熱。これこそが風味劣化の最大原因だ。ルーを一気に高温で加熱すると、内部の水分が爆発的に蒸発し、スパイスが持つ繊細な香気成分が空中に散散してしまう。特に電子レンジ解凍で高出力を選択するのは厳禁だ。急速な温度変化によって油脂分と水分が完全に分離し、表面に油の層が浮き出た残念な状態を引き起こす。
さらに見落とされがちなのが「湯煎」のやり方だ。沸騰したお湯に凍ったパックを直接投入し、ぐらぐらと煮立て続けると、ルーの底が焦げ付いたり袋の中で油脂が分離したりする。食品産業を牽引するハウス食品グループ本社の研究データでも、急激な加熱がカレールーのエマルジョン(乳化状態)を破壊することが指摘されている。また、農林水産省が呼びかける食品衛生管理の指針によれば、中途半端な常温放置解凍は菌の繁殖リスクを高めるため、安全面の観点からも避けなければならない。