深夜に突然の発作に見舞われた際、慌てて筋肉を叩いたり、激しく揉みほぐしたりするのは最も避けるべき初動対応です。痙攣している筋肉線維を無理な外力で押し潰すと微細断裂を引き起こし、翌日以降の炎症や痛みを悪化させます。正しいこむら返りの原因と治し方を押さえ、冷静に伸長反射を促す必要があります。
就寝中のこむら返り即効対処法の基本手順は以下の通りです:
まず、患部の膝を真っ直ぐ伸ばした状態を保ちます。その上で、つり上がった足のつま先をゆっくりと自分の顔(すね)の方向へ引き上げます。手が足先に届かない場合は、枕元に置いたタオルをつま先に引っ掛けて手前に引き寄せるか、壁に足の裏を押し当てて体重をかける手法が極めて有効です。ポイントは「反動をつけず、息を吐きながら15〜30秒間持続的にじんわりと伸ばす」ことです。これにより腱紡錘のセンサーが再び覚醒し、脳へ筋収縮の解除命令が送られます。
痛みが完全に治まった後の薬学的ケアとして広く知られているのが、漢方薬の芍薬甘草湯の効果と正しい飲み方です。芍薬(シャクヤク)に含まれるペオニフロリンと、甘草(カンゾウ)に含まれるグリチルリチン酸が協調して作用し、興奮した神経終末と骨格筋のカルシウム流入を素早く抑制します。服用後5〜10分程度で筋弛緩作用が現れるため、頓服薬として枕元に水と共に常備しておく運用が推奨されます。
ただし、甘草を主成分とする製剤には注意が必要です。漫然と毎日のように長期連用すると、体内にナトリウムと水が貯留しカリウムが排泄される「偽アルドステロン症」を惹起し、高血圧や低カリウム血症による筋力低下を招く危険性があります。あくまで急性期の対症療法として位置付け、常用する場合は処方医との厳密な相談が不可欠です。