素顔も、年齢も、国籍すらも明かされていない。ただ分かっているのは、彼が発信する10分間のループ動画が、毎夜数十万人のユーザーを眠りに誘っているという事実だけだ。イラストレーターが描く、少し眠たげな少年のキャラクターが画面の中で微かに揺れる。その極限まで削ぎ落とされたビジュアルと、脳の奥に直接届くような音響設計が、SNSで爆発的な拡散を遂げた。
音楽関係者は「これまでの環境音楽とは明らかに一線を画している」と分析する。単に心を落ち着かせるだけでなく、どこか懐かしく、そして少しだけ切ないメロディラインが、リスナーの孤独感に寄り添うのだという。