夏八木勲さんの命を奪った直接の死因は、すい臓がんでした。2012年秋、体調不良をきっかけに受診した検査で進行がんが発覚。すでに手術が難しい状態でありながら、本人は「仕事を続けたい」と強く希望し、限られた関係者以外には病状を伏せたまま現場に通い続けました。
周囲に余計な気遣いをさせまいと、撮影の合間にも痛みに耐える素振りすら見せなかったと共演者や監督陣は口を揃えます。抗がん剤治療を受けながら過酷なロケをこなし、現場に入れば普段と変わらぬ鋭い眼差しと力強い声で圧倒的な演技を披露しました。
2013年5月11日、神奈川県鎌倉市の自宅で静かに息を引き取りました。73歳という早すぎる別れでしたが、最期まで役者としての尊厳を保ち、映画への情熱を燃やし尽くした壮絶な生き様は、今なお語り継がれる伝説となっています。