では、入賞を果たす作品と落選する作品を分ける「最大の差」は一体どこにあるのか。独占取材や過去の選者コメントの分析から浮き彫りになったのは、説明的な描写の排除と、発見の具体性である。
落選作に極めて多く見られるのが、「うれしい」「悲しい」「美しい」といった感情を直接言葉にしてしまうケースだ。感情そのものを語ってしまうと、読み手の想像力が働く余地が消えてしまう。一方で、文部科学省が後援し「文部科学大臣賞」などの最高賞に輝く入賞作は、情景の切り取られ方が驚くほど具体的であり、感情を書かずにその情景だけで感情を想起させる構造になっている。
受賞確率を飛躍的に高める言葉選びのコツは、「自分にしか見えていない一瞬の光景」を独自の語彙で定着させることだ。ありふれた日常の言葉を使いながらも、組み合わせによって新鮮な驚きを生み出すことが、審査員の眼を留めさせる最大の鍵となる。