下位にランクインした作品群も、文学賞の主要タイトルを席巻した怪物級の傑作ばかりです。
6位の『夜が明ける』(西加奈子)は、現代社会の格差や理不尽な暴力に抗いながら生きる若者2人の友情を力強く描いた大作です。痛切な現実と人間の回復を描き切ったエモーショナルな筆致が、深い共感を呼びました。
7位の『残月記』(小田雅久仁)は、異形の月が浮かぶ世界を舞台にした圧倒的なダーク・ファンタジー。吉川英治文学新人賞と日本SF大賞をダブル受賞した通り、唯一無二の幻想的な世界観が展開されます。
8位の『硝子の塔の殺人』(知念実希人)は、雪深い森に聳え立つ硝子の塔で巻き起こる連続密室殺人を描いた本格ミステリへのラブレター。驚天動地のトリックと名探偵の推理劇が、ミステリファンの心を掴みました。
9位の『黒牢城』(米澤穂信)は、織田信長に反旗を翻した荒木村重と、地下牢に幽閉された知将・黒田官兵衛による究極の心理戦を描いた歴史×本格ミステリ。第166回直木賞、山田風太郎賞、主要ミステリランキング1位を含む前人未到の4冠を制覇した、文句なしの歴史的名作です。
10位の『星を掬う』(町田そのこ)は、家庭内暴力や孤独に苦しんできた女性たちが、共同生活を通して少しずつ心を通わせていく再生の物語。前年『52ヘルツのクジラたち』で大賞を受賞した町田氏による、温かくも切実な筆致が胸を打ちます。