物語の進行に伴い「胡蝶しのぶは後から生き返るのではないか」という淡い期待を寄せる読者も少なくありませんでした。しかし、『鬼滅の刃』の世界観において肉体を失ったキャラクターが蘇生することはなく、しのぶが生き返ることはありませんでした。
その代わり、童磨が消滅する寸前の「あの世」の境界において、しのぶの魂が登場する屈指の名シーンが描かれます。生前の感情を持たなかった童磨が、自分を罠に嵌めて滅ぼしたしのぶに恋心を抱き「俺と一緒に地獄へ行かない?」と誘いかけるのに対し、しのぶは一切の躊躇なく「とっととくたばれ 糞野郎」と冷酷な笑みで言い放ちました。鬼への憎悪と矜持を貫き通したこの場面は、読者に強烈なカタルシスを与えました。
一方、無限城内で鎹鴉(かすがいがらす)から「胡蝶しのぶ死亡」の一報を受け取った仲間たちの描写も胸を打ちます。普段は感情を表に出さない水柱・冨岡義勇は、訃報を聞いた瞬間に目を見開き、奥歯を噛み締めて強い動揺と怒りを露わにしました。言葉を交わす機会の多かった戦友の死は、炭治郎や義勇をはじめとする鬼殺隊全体の闘志を一層激しく燃え上がらせることとなりました。