結論から明かすと、日本国内に「ベビーバトン」という正式名称で登録・認可されている民間養子縁組あっせん事業者は実在しません。ネット上で「実在するのではないか」と噂される最大の理由は、医療ドラマやヒューマンミステリーなどのベビーバトンのドラマ描写において、極めてリアルな設定の組織名として登場したことや、命のリレーを象徴する言葉として使われてきた経緯があるためです。
では、ベビーバトンの元ネタやベビーバトン実在モデルとなった組織はどこにあるのでしょうか。取材と構造分析を進めると、主に3つの実在する枠組みが組み合わされて描かれていることが分かります。
1つ目は、長年国内で活動を続ける認定NPO法人などの正規あっせん団体(「ベビーぽけっと」や「フローレンス」など)です。これらの団体は、予期せぬ妊娠に直面した女性の相談に乗り、出産費用のサポートから産後の養育委託までを一貫して担っています。
2つ目は、熊本市の慈恵病院が運用するこうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)や「内密出産」の取り組みです。社会的孤立に追い込まれた母子を匿名・内密で受け入れる現場の緊迫感が、フィクションの劇的なエピソードとして投影されています。
3つ目は、かつて社会問題化した営利目的のあっせん団体です。こうした光と影の両面を併せ持つ要素が結晶化し、「ベビーバトン」という象徴的な架空組織のイメージが形作られました。つまり、ベビーバトンの真相は「実在する複数の制度・団体・事件を再構成したフィクションの産物」といえます。