露天商のルーツを語るうえで欠かせないのが、古代中国の伝説の帝王であり、医薬と農業を司る「神農皇帝(しんのうこうてい)」の存在です。
江戸時代の露天商人たちは、草根木皮を自ら味わって薬効を確かめた神農を「商売の祖神」として崇め、同業者組織を結成しました。これが「神農会」や「神農商業協同組合」の起源です。祭礼の場における場所割りのトラブルを防ぎ、衛生管理や治安維持を自主的に行う互助組織として機能してきた歴史があります。
昭和から平成にかけて、一部の組織が反社会的勢力と結びついた時期もありましたが、全国自治体で暴力団排除条例(暴排条例)が施行されたことで業界構造は激変しました。現在では、縁日や祭りの出店にあたり、警察への身元照会や暴力団員でないことの誓約書提出が厳格に義務付けられています。
各地の露天商組合は現在、警察や自治体、主催者(神社・寺院・商工会)と密接に連携する正規の事業者団体として運営されています。反社会勢力の完全排除、食品衛生講習の受講、消火器の設置義務化など、法令遵守と安全管理を徹底するクリーンな組織運営が定着しています。