河津の魅力は、美しい花々の景観だけにとどまらない。この地は、ノーベル賞作家・川端康成が執筆した名作『伊豆の踊子』の舞台としても世界的に知られている。旧天城トンネルから下田へと続く天城越えの街道は、作品の中で旅芸人一行と主人公の青年が歩んだ歴史的な道筋そのものだ。
河津駅からバスでアクセスできる天城山系周辺には、文学碑や当時の面影を残す木造宿が今なお点在する。散策路を歩けば、清流のせせらぎと旧道の静寂の中に、かつて文豪が描いた甘酸っぱい旅情と物語の世界が鮮やかによみがえってくる。歴史と文学のロマンに触れられる点も、この地域が長年多くの人々を惹きつけてやまない理由だ。