ネット上の口コミでは「虐待漫画は読むだけで気分が落ち込む」「胸糞悪さだけが残る」といった否定的な声が散見されます。しかし、これは作品の選定や読書時の心理状態に対する誤解に基づいている場合が少なくありません。
精神医学や心理療法の知見において、過去のトラウマに類似したコンテンツに触れる行為には二面性があります。無防備な状態で過激な暴力描写に触れると「フラッシュバック(再体験)」を引き起こす危険がある一方、主人公が苦境を乗り越えて自立するプロセスを見届けることは「代理体験による感情の浄化(カタルシス)」として機能することが確認されています。
単なるセンセーショナリズムで作られた煽情的な作品と、著者の血のにじむような内省から生まれた名作とを混同せず、自分が今何を求めているのか(事実の理解か、共感か、あるいは物語としての爽快感か)を見極めることが不可欠です。