蒔田彩珠のキャリアの出発点は7歳に遡ります。もともと子役として活動していた2歳上の兄・蒔田伊吹の影響を受け、「自分もやってみたい」と芸能事務所の門を叩いたのが始まりでした。
彼女の運命を決定づけたのは、10歳のときに出演した2012年の連続ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(是枝裕和監督・関西テレビ)です。主演・阿部寛の娘・坪井萌江役にオーディションで抜擢された際、是枝監督は当時の特番インタビューや対談で次のように絶賛しました。
「蒔田さんは、現場にいるだけでその場の空気を変えてしまう。台詞を喋っていなくても感情がすべて伝わってくる、非常に稀有な存在」
是枝監督の現場では、子役に台本を渡さず口頭で状況を伝える手法が取られます。彼女はその演出に驚くほど自然に順応し、作り物ではない「本物の生きた呼吸」をカメラの前で披露しました。その後も是枝監督の映画『海よりもまだ深く』(2016年)、『三度目の殺人』(2017年)、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『万引き家族』(2018年)へと立て続けに起用され、監督のミューズの一人として成長を遂げました。