とり天の成否を分けるもう一つの重要ファクターが衣のテクスチャーです。理想的な衣は「外側はサクッと軽く、内側は肉の水分を逃さない適度な密着感」を持つ状態です。この理想を叶える数値が、とり天片栗粉小麦粉黄金比である「薄力粉7:片栗粉3」のブレンドです。
薄力粉のみでは時間が経つと空気中の湿気や肉の蒸気で衣がしんなりしやすく、片栗粉のみでは竜田揚げのような固いバリバリ感が出てしまいます。7対3の比率で合わせることで、薄力粉のふんわり感と片栗粉の軽快なクリスピー感が絶妙なバランスで共存します。
さらにプロの仕上がりを再現する裏技が、とり天衣サクサク炭酸水の活用です。冷水の一部を冷えた無糖炭酸水に置き換えることで、油に入れた瞬間に炭酸ガス(二酸化炭素)が急激に膨張・揮発します。衣全体に微細な気泡の空洞が無数に形成され、グルテンの過剰な形成を物理的に断ち切るため、驚くほど軽い歯ざわりが実現します。衣を混ぜる際は泡立て器を使わず、菜箸で「八の字」を書くようにダマが少し残る程度で止めるのが鉄則です。