テレビ朝日と東映がタッグを組んで世に送り出した『はぐれ刑事純情派』は、日本の刑事ドラマ史に燦然と輝く金字塔だ。主演の藤田まことが演じる安浦吉之助刑事の次女・ユカ役として、小川範子はシリーズ開始当初から絶妙な存在感を発揮した。思春期の揺れ動く感情や父親を気遣う健気な姿は、日本全国の視聴者にとって「理想の娘」そのものであり、作品の骨太な人間ドラマに欠かせない清涼剤となっていた。
女優としての評価を確立する一方で、彼女は1987年にシングル「涙をたばねて」でテイチクエンタテインメントから歌手デビューを果たしている。当時百花繚乱の様相を呈していた80年代女性アイドル界において、彼女が放つ空気感は異質だった。どこか哀愁を帯びたメロディと、幼少期からの子役経験に裏打ちされた情感豊かな歌唱表現。キャッチーな明るさを前面に出す同世代のアイドルとは一線を画し、文学的な深みを持つ楽曲群は今なお音楽ファンの間で高く評価されている。