医療機関の診察室では、患者が「ニキビ」と訴えて受診した病変が、医学的な尋常性痤瘡ではなく毛包炎やせつ(癤)と診断される場面が日常茶飯事となっている。両者の見分けは一見すると困難だが、病態の成り立ちはまったく異なる。
国内の医学論文ポータルJ-STAGEに掲載された臨床報告によると、鼻周囲は皮脂腺が極めて発達していると同時に、毛細血管が網の目のように密集する特殊な解剖学的環境にある。尋常性痤瘡は毛穴の詰まり(微小面皰)からスタートする慢性炎症性疾患であるのに対し、毛包炎は微小な傷から細菌が直接侵入して急性炎症を起こす。鼻毛を抜く習慣や、鼻を頻繁にかむ摩擦、無意識に触る癖によって表皮のバリアが破れ、そこから病原菌が急激に入り込む。この根本的な差異を無視して画一的なケアを続けても、炎症の悪循環を断ち切ることはできない。