草川拓弥の真骨頂は、主演を張る牽引力だけに留まりません。バイプレイヤーとして作品のピースに収まった際に見せる抜群のポジショニング感覚も高く評価されています。
社会現象となった『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(チェリまほ)で演じた六角祐太役は、その好例です。主人公の安達(赤楚衛二)や黒沢(町田啓太)の周囲で底抜けに明るく振る舞う後輩社員でありながら、決して空気を壊さず、物語の清涼剤として機能する計算された立ち回りを披露しました。原作者やファンからも「六角そのものが現実に飛び出してきた」と絶賛されるほどのハマり役となりました。
一方で、菅井友香とW主演を務めた『ビジネス婚-好きになったら離婚します-』では、恋愛感情抜きの契約結婚を提案する完璧主義のハイスペック社長・堂ノ瀬司を熱演。感情を排したビジネスライクな態度から、次第にヒロインに惹かれていく大人の独占欲やもどかしさを、抑制の効いた大人の色気で表現し、新たなファン層を開拓しました。さらに『サブスク不倫』では底知れぬ危険さを秘めた男性像を演じ切るなど、芝居のグラデーションの豊かさは目を見張るものがあります。