ポテチのパッケージが突如として白黒2色に変更された背景には、石油化学製品の基幹原料である「ナフサ(粗製ガソリン)」の供給逼迫という構造的要因が存在します。カルビーが2026年5月に公表したプレスリリースによると、印刷用インクや包装フィルムの製造に必要な石油由来原料の調達が極めて困難になったことが直接の引き金となりました。
食品パッケージの印刷には通常、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4原色に特色を加えた多色グラビア印刷が用いられます。しかし、原油精製プロセスにおけるナフサ不足は、特殊な合成樹脂や顔料、有機溶剤の生産ラインに深刻な滞りを生じさせました。原材料の枯渇により「通常のカラー印刷を継続すれば、パッケージの袋そのものが作れなくなり、ポテトチップスの製造・供給を停止せざるを得ない」という極限状態に追い込まれたのです。
そこで同社が下した決断が、使用インクの種類を極限まで絞り込んだ「白黒2色印刷」への緊急シフトでした。色彩表現を削ぎ落としてでも工場の稼働を維持し、全国の食卓へ商品を届け続けるためのリスク回避策が、このモノクロパッケージの真相です。