日本銀行の植田和男総裁は、金融政策の判断において「賃金と物価の好循環」が定着するかどうかを極めて重要な指標として注視し続けている。賞与の増額が一時的な臨時収入に終わるのか、それとも来期以降のベースアップや継続的な消費拡大に結びつくのか。日銀内の判断は慎重だ。
植田総裁の頭にあるのは、金利を引き上げるタイミングと市場への悪影響のバランスだ。大手の高額回答によって賃金上昇圧力が強まることは歓迎すべき材料だが、それが中小企業や地方経済へ十分に波及しない限り、金融政策の正常化に向けた足取りは慎重にならざるを得ない。