実際の事件をモチーフにした映画『MOTHER マザー』は、親子の異常な距離感が引き起こした悲劇を鮮烈に描き出し、大きな社会的反響を呼んだ。主演を務めた長澤まさみ(女優)の不穏かつ圧倒的な演技は、母性に隠された底なしの依存欲求と、逃げ場のない子供の悲痛な心理を生々しく切り取っている。
同作は劇場公開後、Netflix(映像配信プラットフォーム)などの世界的な配信サービスを通じて再評価が進んだ。単なるサイコロジカル・サスペンス(映画・ドラマジャンル)の枠にとどまらず、貧困や孤立がどのようにして親子の共依存を加速させるのかを示す社会的警告としても読める。フィクションの形を借りながらも、現実に日常の影で起きている「歪んだ絆」の恐怖を突きつけている。