第13話のクライマックス、緊迫した対峙のなかで乃木が引き金を引いた瞬間、画面の彩度はわずかに落ちた。射抜かれた標的は倒れ伏したが、銃撃の直前に乃木が見せた「ミリ単位の銃身のブレ」に気づいた視聴者はどれほどいただろうか。かつて重量をグラム単位で見抜いた乃木の驚異的な感覚を思えば、このブレが偶発的な手元のアクシデントであるはずがない。
かつてノゴーン・ベキから受け継いだ血と、自衛隊の陰謀阻止という任務のはざまで、乃木は「あえて非致死性の部位」を狙撃した可能性が極めて高い。弾頭が貫通した角度は、解剖学的に見て失血死を避けつつ、即座に死を偽装できる特殊なラインを描いていた。裏切りに見せかけた救援。この冷徹なまでの計算こそが、乃木優助という男の真骨頂である。