幕が上がり、聞き馴染みのあるテーマ曲が流れると、劇場の空気は一変する。吉本新喜劇における最大の強みは、「ここでこれが来る」と分かっていても笑ってしまう圧倒的なフリとオチの完成度だ。
なかでも長年ファンを魅了しているのが、すっちー演じる「すち子」と吉田裕による「ドリルすんのかいせんのかい」の掛け合いだろう。乳首ドリルという強烈なフレーズとともに刻まれるリズム、絶妙な間、そして最後に爆発する「ドリルすんのかい!」のシャウト。あの数分間に凝縮された笑いの密度は、計算し尽くされた伝統芸能の域に達している。
一方で、辻本茂雄が扮する黄色いスーツの「茂造」も見逃せない。階段を勢いよく駆け下りて壮大に転ぶアクションや、客席に向かって放つ「許してやったらどうだ」の名言ギャグ。理不尽なまでの暴走ぶりと、共演者を巻き込む「天丼(繰り返しの笑い)」は、劇場内を一瞬にして爆笑の坩堝へと叩き込む。新旧の座員たちが繰り出す爆笑のお約束パターンは、観客のストレスを一瞬で吹き飛ばす力を秘めている。