フリースがこれほど急激に燃え広がる理由は、素材の化学的特性と物理的構造の「二重の組み合わせ」にある。
現在市販されている一般的なフリースの多くは、石油由来の合成繊維であるポリエステルで作られている。ポリエステル自体は熱を加えると溶融する性質を持つが、フリース加工によって細かく起毛させることで状況が一変する。
起毛した無数の極細繊維は、大量の空気(酸素)をその隙間に抱え込んでいる。いわば「酸素をたっぷり含んだ極小の燃料」が服の表面にびっしりと並んでいる状態だ。この起毛部分にコンロの火やライターの火が接触すると、基布が溶けるよりもはるかに速いスピードで毛羽だけに火が移る。本人が熱さを感知した時には、すでに服全体が火に包まれているケースが珍しくない。