拝殿の後方に視線を遣ると、山の斜面に沿ってまっすぐに伸びる木製の屋根付き階段が目に入る。これが75段の「階子(かけはし)」だ。斜度約45度という急勾配の階段は、山腹に深く佇む本殿へと一直線に続いている。
通常、参拝者が立ち入れるのは拝殿までだが、特定の神事や特別な機会にはこの階子を登る「階梯参拝」が許される。一歩一歩踏みしめるごとに、背後の景色が遠のき、山そのものが持つ龍神の気と一体化していくかのような感覚に包まれる。隠された龍神伝説の秘密は、この階子の真上に眠る本殿の地場にある。古くから「龍の棲む山」と恐れ崇められた木々の奥深くに本殿が配されたのは、龍脈のエネルギーを直接受け取るための必然的な配置だったという。