現在の中村七之助は、名実ともに歌舞伎界の中核を担う女方として多忙を極める日々を送っています。歌舞伎座の本興行はもちろん、浅草や地方での「平成中村座」、さらには兄弟で全国を巡る「中村勘九郎 中村七之助 春秋特別公演」に至るまで、出演する舞台は常に完売が相次ぐ盛況ぶりです。
本名・波野隆行(なみの たかゆき)として1983年5月18日に生を受けた彼は、40代に入り芸の深みを一層増しました。身長174cmという現代的なスタイルの良さを持ちながら、舞台上ではその長身を全く感じさせず、楚々とした町娘から妖艶な姫、さらには情念を燃やす狂乱の女までを幻惑的に演じ切ります。
関係各社の取材によると、劇場の楽屋入りから終演後の稽古に至るまで、そのストイックな姿勢は若手時代から変わっていません。「父が遺してくれた中村屋の精神を次の世代へ繋ぐ」という揺るぎない覚悟が、毎月の舞台出演情報に刻まれる充実した配役と鬼気迫る演技に如実に表れています。