ももいろクローバーZがメジャーデビューを果たし、日本武道館や日産スタジアム、そして国立競技場での単独ライブを満員にするトップアイドルへ駆け上がった時期にあっても、百田夏菜子は東京にマンションを借りて定住することなく、静岡県浜松市の実家から東海道新幹線で現場へ通う生活を貫いていました。
高校時代(日出高校・現目黒日本大学高校)はもちろん、20代の初め頃まで続いたこの「新幹線通勤」は、片道で約1時間20分(ひかり利用)、自宅から浜松駅への車移動や都内の現場移動を含めると、往復で毎日3時間以上を移動に費やす過酷な生活でした。朝5時台の新幹線に飛び乗り、深夜に浜松駅へ滑り込む日々の中で、母親は毎朝欠かさず駅まで車で送迎し、出来立ての温かいお弁当を持たせていたといいます。
経済合理性だけで比較すれば、都内にワンルームマンションを借りる方が移動時間も短縮でき、事務所側のコスト負担も低く抑えられたはずです。それでもなお新幹線通いを選択した最大の理由は、「実家が提供する絶対的な安心感」にありました。激動のエンタメ業界の中でプレッシャーに押しつぶされそうになった時、新幹線に乗って浜松へ帰れば、そこには芸能界の損得勘定とは無縁の温かいご飯と家族の笑顔が待っている。この確固たる居場所があったからこそ、彼女は一度もスキャンダルや精神的な破綻を起こすことなく、太陽のような笑顔を保ち続けることができました。