そもそも、なぜ気体を吸い込むだけのベイプによって、肺に水がたまるような現象が起きるのだろうか。呼吸器内科の専門医は、そのメカニズムを「肺胞の急性炎症反応」と説明する。
肺の奥深くには、酸素と二酸化炭素を交換する「肺胞」という極小の袋が無数に存在する。ベイプの煙(エアロゾル)に含まれる化学物質や微粒子がこの肺胞に達すると、肺の組織が強い化学的刺激を受け、激しい炎症を引き起こす。この炎症から身を守るため、体は血管から水分や免疫細胞を肺胞内に浸出させる。これが、俗に「肺に水がたまる」と呼ばれる状態の正体だ。医学的には「肺水腫」や「急性好酸球性肺炎」に分類され、酸素の取り込みが極めて困難になる。