現場の空気は、過去のどの取り締まりとも異なっていた。警視庁の捜査員や補導員たちが、路地裏やビルの隙間に集まる若者たち一人ひとりに声をかけていく。身元確認が行われ、所持品検査が慎重に進められた。目的は明確だ。過剰服薬(オーバードーズ)のための医薬品の所持や、スカウト目的で接近する悪質成人の排除、そして深夜徘徊する10代の保護である。
現場を流れる時間は張り詰めている。ある15歳の少女は、捜査員の問いかけに無言を貫いたあと、小さな声で「帰る場所なんてない」と呟いた。捜査関係者によると、路上で補導される若者の多くが家庭内暴力や虐待、学校での孤立を抱えているという。形式的な街頭補導だけでは解決しない根深い問題が、ストリートの闇に横たわっている。