思い通りの仕上がりを得るためには、道具だけでなく素材の物理的な特性を理解することが欠かせない。土台となる一次基布(バッキングクロス)は、安価な麻布(ジュート)ではなく、等間隔にガイドラインが織り込まれたポリエステル混紡の専用クロスを選ぶのが鉄則だ。布を木製フレームへ太鼓の皮のようにピンと張り詰めるテンション管理が、針の引っかかりや破れを防ぐ最大の防御策になる。
使用する毛糸の選択も作品の耐久性を左右する。練習用や壁掛けアートには発色が良く扱いやすいアクリル糸が最適だが、実際に床へ敷くフロアラグを仕立てるならウール糸が圧倒的に優れる。ウール特有の弾力は長年の踏圧に耐え、天然の油分が汚れを弾くプロテクト機能を果たすからだ。糸は必ず2本引き揃えてガンに通し、裏面から均等な密度で打ち込むことが、毛抜けを防ぎ密度の詰まったリッチな質感を生み出す秘訣である。