2013年4月の改正労働契約法により定着した「無期転換ルール」。同一の事業者との間で有期労働契約が通算5年を超えた場合、労働者の申し込みによって無期労働契約へと転換できる画期的な制度だ。しかし、ここには働く側が陥りがちな知られざる落とし穴が潜んでいる。
「無期になれば解雇されない」という安心感は半分正しく、半分は誤解である。確かに雇い止め(契約満了に伴う契約終了)のリスクは解消されるが、法律上の解雇規制において正社員と同等の防御力を得られるわけではない。企業の業績悪化に伴う整理解雇が発生した場合、業務範囲が限定されている無期契約社員は、総合職として汎用性の高い正社員よりも優先的に削減対象とされるリスクを排除しきれないのだ。
また、無期転換時の契約条件は「原則として直前の有期労働契約と同一」とされるため、自ら条件交渉を行わない限り、給与や昇給制度は有期社員時代のまま引き継がれる。雇用期間の不安が消える一方で、給料が上がらない固定化されたポジションに留まり続けるというジレンマに直面する労働者は少なくない。