Q1:大腿骨骨折の入院費用は総額でいくらくらいかかりますか?高額療養費制度はどのように使えますか?
A1:3ヶ月間の総医療費(保険適用前の10割負担額)は200万〜300万円規模になりますが、公的医療保険の高額療養費制度を利用することで、実際の自己負担額は劇的に抑えられます。75歳以上で一般的な所得区分(1割負担)であれば、外来・入院を合わせた自己負担限度額は月額約18,000円〜57,600円程度(所得区分により異なる)となります。ただし、病院の食事代(1食約490円前後)や差額ベッド代(個室代)、病衣レンタル費用などは全額自己負担となるため、毎月の実質的な請求総額は約8万〜15万円前後、3ヶ月で合計25万〜45万円程度を見込んでおくのが現実的です。入院が確定した段階で、速やかに加入中の健保組合や後期高齢者医療制度から「限度額適用認定証」の交付を受けて病院窓口へ提示してください。
Q2:手術後に親の認知症が急に悪化したように見えます。この精神状態は一生治らないのでしょうか?
A2:多くの場合、認知症そのものの急激な進行ではなく、環境の変化や麻酔・薬剤・手術ストレスによる一時的な「せん妄(術後せん妄)」と考えられます。時間の感覚が失われたり、幻覚が見えたり、興奮して点滴を自己抜去しようとする症状が特徴です。せん妄は通常、術後数日から数週間で全身状態が安定し、回復期リハビリ病院で昼夜のメリハリがついた規則正しい生活リズムを取り戻すにつれて自然に鎮静化していきます。家族は過度に狼狽せず、否定も過剰な同調もせず、穏やかに日付や今いる場所を教える声かけを続けてください。
Q3:回復期リハビリ病院から「あと1ヶ月で退院です」と言われましたが、まだ1人で歩けません。退院を拒否して入院を延長することはできますか?
A3:原則として、病院側の退院方針を一方的に拒絶して入院を延長し続けることは制度上不可能です。回復期リハビリテーション病棟には法令上の上限入院期間(大腿骨骨折等の運動器リハビリは原則最大90日、重度合併症等がある一部除外例でも180日)が定められており、2026年現在の診療報酬体系では上限を超えた長期滞在は病院側の重い減点対象となるためです。歩行が不完全な場合は、退院を拒むのではなく、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)と直ちに協議し、退院先を「在宅」からリハビリ継続可能な「介護老人保健施設(老健)」へ切り替える、あるいは有料老人ホームへの一時入居やショートステイの連続利用へプランを緊急変更するのが実務的な正攻法です。