生花店や贈答の現場を取材すると、百合をめぐるトラブルや相談は日常茶飯事です。都内で20年以上フラワーショップを営むフローリストは、店頭での実情を次のように明かします。
「お客様の中には『豪華だから』という理由だけで、お見舞いや退院祝いに大輪のカサブランカを指名される方がいらっしゃいます。しかし、私たちは丁重に別の花をご提案します。百合の香りは密閉された病室では頭痛や吐き気を誘発することがあり、何より開花後の花粉がシーツや衣服に付くと簡単には落ちません。花言葉の『純粋』ばかりが先行し、受け取る側の住環境や体調への配慮が抜け落ちてしまうのが一番の落とし穴です」
SNSや知恵袋、相談掲示板などを検証しても、リアルな後悔や憤りの声が数多く見受けられます。
「婚約記念のディナーで彼から黄色い百合を中心にした花束をもらった。意味を調べたら『裏切り』と出てきて、浮気でもされているのではないかと勘ぐってしまい気まずい空気になった」(20代女性・SNS投稿より)
「新築祝いに大輪の白百合をいただいたが、我が家には猫がいたためパニックに。百合は猫にとって花粉や生け水すら命取りになる猛毒。好意は嬉しかったが、正直処分に困り冷や汗をかいた」(30代夫婦・生活情報フォーラムより)
花言葉への感受性は受け手によって大きく異なります。特にスマートフォンですぐに検索できる現代では、「黄色=裏切り」「オレンジ=軽蔑」といったネガティブな検索結果が最初に目に入り、贈った側の純粋な善意が根底から覆ってしまう危険性が潜んでいるのです。