彼の凄みは、サスペンスの枠にとどまらない多才さにある。市川崑監督の金字塔を現代風に再解釈したドラマ『黒い十人の女』で見せた怪演は、視聴者を唸らせた。10人の女性に愛される男というコミカルかつ滑稽で狂気を孕む役柄を絶妙な塩梅で演じ切り、俳優としての幅の広さを証明してみせたのだ。
一方で、数々の『刑事ドラマ』で見せる正義感あふれる眼差しと熱い人間味は、視聴者の心を掴んで離さない。犯人と対峙した際に見せる苦悩や情熱、そして慈愛に満ちた表情は、長年のキャリアで培われた人情味の賜物であり、彼にしか出せない味となっている。