今でこそ「ヒルズ」の名は東京の都市空間の象徴だが、その原点はここにある。昭和の高度経済成長期の面影が残る木造住宅密集地を、民間による初の大規模な都市再開発として生まれ変わらせたのが「赤坂・六本木地区第一種市街地再開発事業」だった。構想から完成まで要した期間は、実に17年。土地所有者との粘り強い対話を重ね、都市機能の刷新に挑んだ歴史が刻まれている。
この壮大なプロジェクトを牽引したのが、森ビル株式会社の元社長である故・森稔氏だ。日本の不動産業界において、単に土地を切り売りするのではなく、立体的に都市を構築する「職住近接・文化共生」の理念を提示。中心にそびえるアーク森ビルをはじめとする建造物群は、日本の都市再開発における金字塔として、今も燦然と輝いている。