有安杏果の表現欲求は、音楽の領域にとどまらない。日本大学芸術学部写真学科で学んだ確かな知識と技術を背景に、彼女は写真家としてのキャリアも着実に積み重ねている。自作のCDジャケットやアートワークのビジュアルディレクションを手がけるだけでなく、個展の開催や写真集の発刊など、視覚芸術の分野でも高い評価を得ている。
カメラのファインダーを通して彼女が捉える風景や被写体の佇まいには、孤独と温もりが同居する独特の空気感が漂う。言葉や音だけではすくいきれない日常の瞬感を光と影で定着させる作業は、彼女にとって音楽制作と同等以上に重要な自己対話のプロセスとなっている。