かつて吉浦康裕監督が描いたアニメーション金字塔『逆さまのパテマ』を思わせる天地逆転の仕掛け。だが本作が選んだ道は、より苛烈で容赦のない本格SFアクションだ。実写映画界で圧倒的なスケール感を描いてきた佐藤信介が演出の主軸に関わったことで、画面から漂う緊張感は異次元の域に達している。
主人公は正義の象徴ではない。失われた重力を取り戻すべく孤軍奮闘しながらも、己の欲望と復讐心に呑み込まれていく。その姿はまさに現代のダークヒーローそのものだ。落ちているのか、それとも登っているのか。浮遊感と疾走感が交差する戦闘シーンは、観客に直感的な快楽と同時に、どこか息苦しい恐怖を突きつける。