裁判官となった三淵嘉子は、特に家庭裁判所の現場で目覚ましい手腕を発揮した。少年非行や家庭内の紛争に対して、厳しさと温かさを兼ね備えたまなざしで向き合い、「家裁の母」と称されるほど関係者から絶大な信頼を寄せられた。
最高裁判所をはじめとする司法の中枢においても、女性だからという理由で向けられる冷ややかな視線を、確かな法知識と公正な判決で跳ね返していった。日本初の女性弁護士から裁判長、そして地裁所長へと登り詰めた彼女の足跡は、後進の女性法曹たちが活躍する基盤を盤石なものとした。制度の壁を打ち破るだけでなく、法の心を守り抜いた姿こそが、彼女が遺した最大の功績と言える。