マイクを置き、カメラの前から姿を消した彼が飛び込んだのは、極めて厳しい競争が繰り広げられる飲食業界だった。元有名俳優という肩書は、初期の集客には寄与したかもしれないが、現場の過酷な労働や店舗運営の現場では何の免罪符にもならない。洗い場に立ち、接客を学び、調理の技術を磨く日々が始まった。
しゃぶしゃぶ店やバー、ダイニング居酒屋など、現場での修行を重ねた末に、彼は自らの店舗を開業。単なるタレントショップではなく、味と接客品質で客を呼び込む本格的な店舗づくりを徹底した。元俳優というプライドを完全に捨て去り、一経営者として店に立つ姿は、周囲の見る目を徐々に変えていった。
経営者としての道のりは決して平坦ではなかった。外食産業の打撃や原材料費の高騰など、数々の波乱を乗り越える中で、彼の店舗はリピート率の高い人気店へと成長を遂げた。接客で見せる笑顔の裏には、緻密な原価管理とスタッフ育成に心を砕く経営者の顔があった。