20代を通じて、上戸彩はアイドル的女優から日本を代表する本格派女優へと鮮やかな脱皮を遂げました。その歩みは、大きく「20代前半の快活なヒロイン期」と「20代後半の成熟した表現者期」に分けることができます。
20代前半の代表作として今なお語り継がれるのが、2006年放送のドラマ『アテンションプリーズ』です。破天荒なロック少女がキャビンアテンダント(CA)を目指して成長していく主人公・美咲洋子役は、彼女の持ち味である明るさとバイタリティが見事に合致。平均視聴率は16%を超え、関連グッズや決め台詞が話題を呼ぶ大ヒットを記録しました。この時期は『暴れん坊ママ』(2007年)や『セレブと貧乏太郎』(2008年)など、コメディエンヌとしての才能を存分に発揮した作品が続きます。
転機となったのは、20代の終盤に差し掛かった2014年の主演ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(当時28〜29歳)です。平日の昼間に不倫に溺れていく平凡な主婦・笹本紗和という、これまでの清純派イメージを覆す難役に挑戦。罪悪感と情熱の間で揺れ動く女性の心理を生々しく、かつ繊細に演じ切り、社会現象を巻き起こしました。
この作品によって「国民的元気ガール」という固定観念を打破し、複雑な陰影を演じ分けられる実力派女優としての地位を完全に確立することに成功したのです。