バレーボールの動作において、腕を高く振り上げて強打するオーバーヘッドモーションは、肩関節に体重の数倍に達する負荷を瞬間的にかけます。この繰り返しのストレスによって発症する障害、いわゆる「バレー肩」の背景には、主に3つの代表的な疾患が存在します。
第1に挙げられるのがインピンジメント症候群です。肩を挙上した際に、肩甲骨の先端にある「肩峰(けんぽう)」と、腕の骨をつなぐ「腱板(けんばん)」や滑液包が衝突(インピンジ)して炎症を起こします。腕を真上や斜め上に挙げた特定の角度で「パキッ」とした引っかかり感や強い痛みを覚えるのが特徴です。
第2に、強烈なアタックの衝撃や過度な使い込み(オーバーユース)によって筋肉の腱が擦り切れる腱板損傷があります。特に肩の深層にある棘上筋(きょくじょうきん)の腱が傷つきやすく、悪化すると安静にしていてもズキズキと痛む「夜間痛」を引き起こします。腕を自力で保持できなくなる重症例もあるため、早期の鑑別が欠かせません。
第3に、十代の選手や女性プレーヤーに多く見られるのがルーズショルダー(動揺肩)です。先天的な関節の緩さに過度なスイング動作が重なることで、上腕骨頭が関節窩から微妙にズレ動き、周囲の神経や軟骨(関節唇)を刺激します。「肩が抜けそう」「力が入らない」という違和感を抱えながらプレーを続けると、関節唇損傷などの難治性トラブルへと進行します。