「6年目あたりから、日付の感覚すら怪しくなっていった。周囲の同級生は社会に出てキャリアを積み、結婚していく。自分だけが止まった時間の中で、ノートに向かい続ける恐怖は言葉にできない」
そう当時を振り返る彼は、長年の沈黙を破り、当報道チームの単独インタビューに応じた。彼のような異例の経験を持つ9浪合格者が直面するのは、単なる学力不足の問題ではない。真の敵は「自己否定の渦」だ。模試の判定に振り回され、毎年2月になると恐怖で手足が震えたという。しかし、9年目に差し掛かった際、彼は勉強の組み立てを根底から見直した。単に知識を暗記する作業を完全に捨て、出題者が「なぜこの問いを立てたのか」という本質的思考へのアプローチへと舵を切ったことが、最大の勝因となった。