軍事史研究の最前線でも、構造的な再評価が進んでいる。防衛省防衛研究所が保管する広大な史料群のマイクロフィルム化とデータベース化が進み、民間研究者や歴史ジャーナリストへの一般公開範囲が飛躍的に拡大した。
従来、大日本帝国陸軍は硬直化した超国家主義的な組織体として語られることが多かった。だが、新たに精査された師団レベルの電報綴りや作戦日誌からは、現地部隊が直面した情報錯綜の混乱や、無謀な作戦計画と現場の現実との乖離に苦悩する下級将校たちの泥臭い姿が浮かび上がってくる。組織の論理と個人の生存本能が衝突する現場の力学を追うことで、固定化された歴史像は解体され、より立体的な組織構造と人間模様が浮き彫りになりつつある。