穴あきや破れの補修を依頼する際、多くのユーザーが見落としがちなのが「かけつぎ(かけはぎ)」と「ミシン刺し(タタキ)」の仕上がりの違いです。この2つの工法を正しく理解していないと、「思ったより傷跡が見える」「予算を大幅にオーバーした」というミスマッチを招きます。
かけつぎは、洋服の見返しなど目立たない部分から共布を取り出し、糸を一本ずつ解いて破損箇所へ職人が手作業で織り込んでいく日本の伝統技術です。ウールやスーツ生地であれば、光に透かしてもどこを直したのか肉眼では判別できないレベルまで復元できます。ただし、1針ずつ編み込む膨大な作業時間を要するため、費用は1万円〜3万円超と高額になります。
一方のミシン刺しは、破れた箇所の裏側に補強布を当て、表から細かくミシンを走らせて縫い止める技法です。費用は数千円で済み、強度は抜群に高くなりますが、光の反射によってミシンの縫い目が筋状に見えるため、「傷跡を目立たなくする」のが限界となります。ジーンズの股下や作業着、裏地など目立たない場所にはミシン刺しが適していますが、フォーマルスーツや高級ウールコートの胸元などはかけつぎを選択するのが賢明です。