映画の金字塔『極道の妻たち』。その原作となった家田荘子のルポルタージュには、架空のフィクションを遥かに凌ぐ過酷な現実が描かれている。モデルの一人とされる山口組系暴力団幹部の妻をはじめ、実際の裏社会に生きた女たちは、単なる庇護される存在ではなかった。組幹部の逮捕や抗争による死亡という危機に直面した際、代行として組織の意思決定を下し、資金繰りや若衆の統率までこなす「影の組長」として機能していたケースは少なくない。
だが、その日常は華やかさとは程遠い。常に警察のガサ入れや対立組織からの報復におびえ、夫や組員の刑務所服役中には差し入れや弁護士費用を捻出するため、日陰の商売で奔走した。実在の女ヤクザや極妻たちの生き様は、任侠という美名に隠された、極限状態での生存戦略そのものだったのだ。