仲代達矢主宰の「無名塾」で叩き込まれた演技の基礎。そこが彼女の原点だった。入塾までの倍率は数百倍とも言われる狭き門を突破したものの、妥協を許さない過酷な訓練の日々に一度は挫折を経験する。だが、その失意こそが、後にスクリーンで爆発する感情の泥臭いマグマとなった。
2000年代初頭から映画やドラマで頭角を現し始めた彼女は、単なる「美貌の女優」という枠組みを軽々と踏み越えていく。特に、2013年公開の映画『さよなら渓谷』で見せた演技は真骨頂と言えた。過去の事件に囚われながらも愛と憎しみの狭間で蠢く女性の情念を、絞り出すような吐息とともに体現してみせた。同年の日本アカデミー賞最優秀主演女優賞と最優秀助演女優賞(『そして父になる』)のダブル受賞は、日本映画界における彼女の存在感を決定づける歴史的瞬間だった。