感染症という劇的なモチーフを圧倒的な映像美学へと昇華させた立役者として、アニメーション監督の荒木哲郎の存在を外すことはできない。彼が手掛けた2011年の話題作『ギルティクラウン』は、突如発生したアポカリプスウィルスの蔓延によって無政府状態に陥り、GHQの統治下に置かれた近未来の東京を舞台に描かれた。名門スタジオProduction I.Gによる繊細かつダイナミックな作画は、未知のウイルスがもたらす隔離政策の非情さと、その中で葛藤する若者たちの生命力を鮮烈に刻みつけた。
その後、荒木監督は自ら立ち上げに深く関わったWIT STUDIOにおいて、真骨頂とも言える『甲鉄城のカバネリ』を世に送り出す。蒸気機関が発達したインダストリアルな世界観に、噛まれた者を狂暴な怪物に変える「カバネ」の脅威を融合させた本作は、形を変えたバイオハザードの極致と言える。装甲列車という閉鎖空間での決死の防衛戦や、ウイルスに侵されながらも人間の心を保とうとする「カバネリ」の存在は、感染の恐怖に抗う人間の誇りを力強く描き出した。