オフコースというバンドの歴史を語る上で欠かせないのが、小田和正と鈴木康博という二人の天才的なシンガーソングライターの存在だ。高校時代からの友人であり、互いの才能を認め合っていた彼らだったが、グループが巨大化するにつれて音楽的なビジョンには徐々にズレが生じ始めていた。小田が追求する普遍的で澄み切ったポップセンスと、鈴木が志向するより骨太でロック色の強いサウンドメイク。この対比はバンドの魅力であったと同時に、内なる葛藤の火種でもあった。
不仲説と一言で片付けられることが多い二人だが、その実態は単純な憎み合いではない。音楽家としてのプロフェッショナリズムの熾烈なぶつかり合いだった。妥協を一切許さないスタジオワークの中で、お互いの美学が譲れなくなっていった過程こそが、解散への不可逆なカウントダウンの始まりだったのだ。