日本を代表するバイオリニスト・宮本笑里との共演も、ファンの間で伝説として語り継がれている。生演奏のバイオリンとフィギュアスケートが対峙したあのコラボレーションは、互いの音と動きがリアルタイムで共鳴し合う緊迫感と美しさに満ちていた。
テレビ朝日などの特別番組や生放送のステージで披露されたパフォーマンスでは、リハーサルの段階から妥協のない音と動きの擦り合わせが行われたという。宮本が奏でる繊細で可憐な弦の響きに呼応するように、羽生は滑らかな滑走と力強いジャンプを重ね合わせ、奇跡的な一体感を生み出した。視聴者の胸を打つ名演の裏には、表現者同士の密度の高い対話と信頼関係があったのだ。