この花が放つ悪臭は、決して気まぐれではない。腐った魚や肉、あるいは生ごみが混ざり合ったような刺激臭は、生息地であるスマトラ島のジャングルで花粉を運ぶシデムシやハエなどの甲虫を引き寄せるための高度な生存戦略なのだ。
最新の植物学研究が明かす驚くべき事実は、開花時に花の中央にある付属体が自ら発熱するというメカニズムである。人間の体温を超える37度前後まで温度を上昇させることで、悪臭成分を揮発させ、風に乗せて遠くまで拡散させている。自力で熱を生み出し、受粉媒介者を誘導する植物の科学的メカニズムには、研究者たちも感嘆を禁じ得ない。