なぜ今、実録裏社会ドラマや暗部に迫る映像作品がこれほど大衆を惹きつけるのか。そこには単なる刺激への欲求だけでなく、裏社会の動向を通じて人間心理の極限や組織の暗部を覗き見たいという好奇心が潜んでいる。欧米で過熱する犯罪ドキュメンタリーのブームも相まって、日本の特殊なヤクザ社会はメディア・エンターテインメントの格好の題材となった。
しかし、エンタメとして消費される映像の裏には、現実の報道ジャーナリズムが長年追跡してきた警察とヤクザの死闘、そして被害者たちの生々しい現実が存在する。フィクションの描写が提示するスリルと、高山若頭らが牽引する現実の裏社会が持つ底知れぬ冷酷さの間には、今も埋まることのない深淵が横たわっている。