「もし現地で刺されてしまったらどうすべきか?」——これこそが野外へ出かける誰もが知っておくべき最優先事項だ。激痛やのちの激しい腫れを最小限に食い止めるには、刺された直後の「最初の数分間」の対応がすべてを決定づける。
最大のポイントは、速やかに毒素を体外へ排出することだ。ここで決定的な役割を果たすのが、野外救急の必需品であるポイズンリムーバーである。刺された部位を直接口で吸うのは口内の細菌感染リスクがあるため絶対に行わず、専用器具を用いて機械的に吸引・毒抜きを行う。かつてNHK『ガッテン!』虫さされ・害虫対策特集でも詳しく紹介された通り、刺されてから数分以内に毒液を物理的に取り除くことができれば、その後の炎症レベルは劇的に低下する。
毒抜きを終えたら、冷水で患部をしっかりと洗い流して冷却する。アブやブヨの毒素タンパク質は熱に弱いとされる説もあるが、現場で安易に熱湯をかけるのは火傷の危険が高いため危険だ。冷水や氷で患部を徹底的に冷やし、局所の血管を収縮させて毒素の拡散を防ぐのが安全かつ確実な処置となる。